ねずみのすもう
おじいさんのうちに、やせたねずみがおってな。毎晩ことことと隣の家の太っちょのねずみと、相撲
をとっておったそうな。
おじいさんとこのねずみはやせっちょで、隣のは太っているから、いっつも負けるんだそうだ。
それを穴から、いっつもおじいさんとおばあさんが二人でのぞいて、
「今度こそ負けるな。がんばれ、がんばれ」いうて、応援しとったんだと。
あるとき、おじいさんが
「おお、ええこと思いついた。お団子を作ってうちのねずみに食べさせたら強くなるんじゃなかろう
か。そんで、隣のねずみと相撲を取るのを見ようじゃなぁか」
というて、 毎晩団子を作って、ねずみの穴の前に置いてやって、様子をみていたら、その、おじい
さんとこのねずみが、団子を食べてよう肥え太ってな、強そうな太いねずみになったんだそうだ。
そんでおじいさんは喜んで、今度こそ隣のねずみに勝つと思って、
「ばあさんや、ばあさんや、この穴から一緒に見ようじゃないか」
と言って、穴から見とったら、隣のねずみと一緒に相撲をとり始めたんだと。そんでやっぱりおじい
いさんとこのねずみが勝って、隣のねずみが負けてしもうた。
おじいさんのいうことにゃ、
「やっぱり団子のお陰だなぁ、団子、毎晩食べさせとって、やっぱり肥えて強うなったなぁ」
その隣のねずみが、
「どうしたことか、あんたは今日は強いなあ」いうて、聞いたところが、
「いやいや、こりゃ、うちのおじいさんおばあさんが、わしに勝たそう思うて、団子を毎晩作ってくれ
て、食べさしてもろうたお陰で」
「そうか、そんなら、わしもちっと、食べさせてもらえんか」とたのんだ。
おじいさんとこのねずみのほうがおばあさんに、
「隣のねずみたぁ、わしのほうが勝ったで、悔しがって、『どうぞ頼むけん自分にも食べさしてくれぇ』
いうて頼んどるんじゃが、おばあさん、団子を作ったげてくれんかの」
いうたら、おばあさんは
「あんたは友達思いで、ええ心がけだ。そりゃ作ってやる。一緒になって食べなさい」
いうて、作ってやったんだと。
二匹は仲良う同じような太さになって、相撲とっても、どっこいどっこいで、仲良う相撲をとったという話だと。